MMオフィシャルブログ

全てフィクションです

生まれて初めて秋葉原のAVショップを3軒ハシゴした話②

 

かなり前に書いた記事の続きを今更あげます。

こういう話題はセンシティブで価値観が分かれるところなのでどうしたもんかと思って中々筆が進まなかったけれども、せっかくツアー行ったし、知ってほしいし、自分の記録にもなるし、と色々おもったので書いた。

 

ちなみに長い。

 

 

前回の記事はこちら

sabamisoumai.hatenablog.jp

 

 

 

②商品化された性を見るべくAVショップに行く

講義が終わり、いざAVショップに足を運ぶ。

 

訪れたお店は3軒。 店名は控えるが以下のような特徴を持つ。

1.ごく一般的らしいお店

2.いわゆる「ロリ専、幼女モノ」といわれるジャンルの商品を扱うお店

3.過激なジャンル、マニアックなジャンルの商品も取り扱うお店

  

まだまだ明るい14時頃、この順番でお店を回った。

 

1.ごく一般的らしいお店

最初に向かったのはごく一般的らしいお店 。ごく一般と言われても何が一般的なのかよくわかっていないのでドキドキしながら行った。

入口は普通のアニメやドラマのDVDもあって、いきなりAV感はないのだけど、少し進むとやっぱりここはTSUTAYAと違うなとすぐにわかった。

私は未だかつて、温泉以外でこんなに肌色に囲まれた世界を知らなかった。 

 

実をいうと、私はこの日のために予習していた。真面目なので。

インターネットで見れる無料AVを初めて見て、事前にどういうものかなんとなく知っておこうと思った。念のためchromeのシークレットモードで見た。途中で金払えみたいな画面出てきたらどうしようと少しビビりつつページを開いたが終始無料だった。

それは思わず笑ってしまうくらいのありえないストーリー設定に加え、結構な画質の悪さで、もっと抵抗感を持ってしまうかと思っていた自分は拍子抜けした。

あれ、案外普通に見れるなと思っていた。

 

そうして耐性をつけていったつもりだったけれど、いざ店に入り、ズラーーーーっと並ぶ肌色のパッケージをみると流石に衝撃的だった。

ざっと見る限りではどれも似たり寄ったりなパッケージ。

もう裸のゲシュタルト崩壊

そんな中個人的にここで気になったのは、「素人隠し撮りコーナー」

プリクラ機の下に隠しカメラを置いて撮りました!とか更衣室の隠しカメラ映像をまとめました!みたいな感じの内容だったと思う。

AVみたいなエロは特に、プロ女優より素人とか裏とかの方が価値があるとされることが多いのは知っていたけれど、まさかわざわざコーナーを設けるほど一定数の需要があるとは思わなかった。

しかも、パッケージもいかにもプロダクションがつくりましたという感じではない簡素な作りで、敢えてそういう風にして裏ビデオ感を出してるのかな、なんて思った。

本当に裏ビデオなのかそれっぽくしてるだけなのか、私にはわからなかった。

 

「これ本当に隠し撮りなのかな?」

ツアーに参加していた他の女の子と首をかしげてその店を後にした。

 

2.「ロリ専、幼女モノ」といわれるジャンルの商品を扱うお店 

三店舗見た中で、最もわかりにくい入口、狭い店内、「アイドルグッズ CD DVD BOOK」と書かれた秋葉原にしてはとてもシンプルな外観だった。

身長165センチの私が屈まないと頭をぶつけてしまう窮屈で薄暗い階段を上がって店に入った。

 

児童ポルノ法で18歳未満のAVは違法であるとは知っていたけれど、そこにあったのは幼い子どものAVだったと思う。

プロダクション的にも違法はまずいので、童顔で幼い体型の女優さんを出演させているという知識はあったものの、あの場にあった全てがそうだとは判断できなかった。

支援団体の人が言うには、摘発を避けるためAVではなくイメージビデオ、着エロとして売り出しているらしい。AVとイメージビデオの大きな違いは本番行為があるかないか、あくまで後者は”イメージ”を撮ったものという位置づけだそうな。

わっかりづらいなと思った。

中身は見ていないからわからないけれど、確かにパッケージは先ほどの店にあったものとは違う。肌色じゃない。

 2.3枚しかしっかり見ていないけれど、単体*1として名前を売り出している子の多くはパッケージの裏に可愛い感じのフォントでプロフィールが書いてある。

表は水着やランドセルで写る写真がコラージュされていたり、脱いでないけどそれっぽい写真だったり。

 

あまりに堂々と置いてあったもんだから、児童ポルノとはなにかわからなくなり定義を確認してみた。

3  この法律において「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう。

 

  一  児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態

 
  二  他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
 
  三  衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの

児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律

 

いやあれもこれもがっつり児童ポルノやったや~んと思わずツッコんでしまう。

児童ポルノ禁止法で摘発されるニュースを見たことがある人は少なくないと思う。2014年に改正されて、警察も摘発に力を入れているらしい。

それを知っていたからこそ、こんなに堂々と児童ポルノ(らしき商品)が存在してあり、入手できることに驚いた。

お店にあった商品の内容を見ていないから一、二の項目はともかく、三の項目に関してはパッケージしか見ていなくても児童ポルノに当てはまるのでは…?と思う。

法律に明るくない、というか法律には真っ暗だからかもしれないけど、実物のビデオを見て改めて定義が曖昧だと感じた。インターネットでも「ジュニアアイドル イメージビデオ」で検索するとそれっぽいものがわんさか出てくるし違法と合法の区別が分からなさすぎる。

昔はこの店、書店として存在していたらしくて、そのときから何度も摘発されているらしい。訪れたときはよくわからんカタカナの名前だったな。

 

3.過激なジャンル、マニアックなジャンルの商品も取り扱うお店

ここは4階まであるAVデパート。

上に上がれば上がるほど過激な内容になると聞いて、1階から見て周った。

 

1階だけ見ると、3店舗中最もAV店らしさがなかった。サブカルホイホイ、私も大好きヴィレッジヴァンガードみたいな感じ。アニメの雑貨とか、ガチャポンとかが置いてあった。あと乃木坂の写真とかもあった。

2階に上がる際にエレベーターに入った瞬間、そうそうここはAVショップなんだなぁと気付かされる。床以外の全てが肌色で覆い尽くされている。

もう3軒目ともなると、女優さんと目が合っても恥ずかしくなくなっていた。

2階は1軒目のような感じ。

3階はあまり見ていないけれど、VRがあった。そしてカップルがいた。驚いたけれど、恐らく向こうの方が驚いていただろう。邪魔してごめん。

ツアーといっても参加者は10名程度だし、店内では個人行動だったから、「ひとりでAVショップに来て物色している女」みたいな感じに映っただろうか…映っただろうな…それこそそういうビデオありそうとか思いつつ4階に移動。

4階に来て、ここは過激ジャンルですよと事前に言われていたことを理解できた。

それまではパッケージを手に取り割とじっくり見ることが出来たのだけど、この階のものは直視できないものがいくつかあった

私は、例えばグロ系が苦手とか、この手の画像・映像は苦手とかは(ホラー以外は)無いのだけど、それでも思わず目をそむけたくなるようなパッケージがちらほら置いてあった。逆に、まっっったく需要があるとは思えずガン見してしまうようなマニアックすぎるものもあった。

直視できない系はハードSMとかスカトロ、鬼畜系というジャンルらしい。マニアックなのはジャンルがあるのかもよくわからない。

 

正直、ここにある作品を見るのは疲れた。

別に私が女だからそう感じたのではなく、参加者の男性も理解しづらい内容だというくらいここは特殊なビデオが置いてあったのだとおもう。

それが置いてある、存在することが需要があることを意味するならば、ここまで、少なくとも私にとって理解不可能な需要はそうそうないだろう。

 

3軒ハシゴして

約1時間で3軒回るという割とハイペースなスケジュールだったんだけど、感じた共通点は 

秋葉原というごちゃごちゃした場所だからかもしれないけれど、いかにもAVショップな見た目ではない。(「DVD、CD、ビデオ、アイドル」といった文字が並んだ外装。)

・入口付近にAVは置かれていない。

・インターネットで店名を検索してみたが、店内に置いてある商品とネット上に記載されている商品はズレがある。(あとものすごくHP見にくすぎる)

・意外と普通に客いる。ネットで見れる時代に特に若い客いるのかと思ったが、(失礼だけど)ごく普通の見た目の若い客いた。

・違法かグレーな商品もあると思う。

 

前回の記事でも触れた通り、私が最初に知った女優さんは超人気女優の明日香キララだったのでAV女優はそれなりに可愛くないとできないし、意外と誰でも生き残れるわけではないと思っていた。

だからこそ自ら進んで出演する人もいて、(現状スカウトより志願者の方が多いらしい)その上需要はなくならない。その中で被害女性がいるとはいっても、どう取り締まるのか難しいなぁとツアー参加前からぼんやり感じていた。

そんな考えの中、作品を実際に見て、改めて支援団体の人の言葉、そして数冊読んだ本に記載してあった内容を思い出した。

 

モデル、パーツモデルの募集に応募したつもりが、脅されてAVに出演させられる被害に遭う人がいる。」 

自ら出演を願う女優が少ないジャンルの作品は特に、通常の作品では売れなくなった女優さんが精神安定剤を飲み続けながら働く場合や、障がいを持っており判断能力が備わっていない場合、そして、脅して半ば強制的に出演させる場合などもある。

 

私はAV自体がダメだとか、性の商品化そのものに反対だとかそういう意見を持っているわけではないし、フェミニズム的な思考を持ち合わせているわけでもない。(触れていないが、男性が性的搾取に遭うケースも勿論ある)けれども、このことを知って、そしてパッケージとは言え作品実物を見て、それでも尚、「需要がある以上はしょうがない」の一言ではやっぱり片付けられないなぁと思った。

 

 前回の記事でも書いたが、意に反する撮影被害に遭った女性は業界全体でコンプライアンス順守の動きがあるらしい現在でも存在している。これは業界団体ではなく個人で撮影し、ネットで映像公開できるようになったことも大きく関係あるそう。

その一方で事務所側は女優さんに気持ちよく働いてもらうために、丁寧に丁寧に対応するという話も聞く。

実はこのツアーには元AV女優の峰なゆかさん(綺麗だった)も取材で来ていたのだけど、現場を知っている峰さんも業界健全化の動きは進んでいるとおっしゃっていた。

どちらの話もよく聞くので、参考に今年に入ってからのAV強要に関するニュースを貼っておく。

abematimes.com

abema newsはこの回以外にもこの話題に何度か触れている。結構わかりやすい。

www.sankei.com

脅す際、難しい法律の話を持ち出したり、バラシ代がかかると言ったりするのはあるあるなのかもしれない。

www.huffingtonpost.jp

アメリカの発表した人身売買報告書で、初めて日本のAV出演強要について問題視されたそう。

withnews.jp

きちんとコンプラ順守されている、女優さんにとって安全な現場も勿論あるらしい。

 

AV強要の問題は割とタイムリーらしく、政府や業界内の関係者も強要の問題に取り組み始めたみたい。

今年の4月には「AV業界改革推進有識者委員会」が発足。この委員会は、大学教授や弁護士などの第三者で構成され、

・200社以上のメーカーが所属する「IPPA」という協会

・出演者・クリエイターの権利を守る活動をしている「AVAN」という一般社団法人

・女優が所属する事務所のプロダクション協会

・大手流通業者(DMMやTSUTYAなど)

などの業界側の関係者も参画している。

 

例えば制作過程のガイドラインを設けたり、そのガイドラインに沿って制作した作品を「適正AV」として販売したりして出演者の人権を守り、業界の健全化を目指す取り組みを行うそう。

提言内容はこんな感じ↓

http://www.ippa.jp/pdf/AVkaikaku-teigen20170406.pdf

 

5月にはAV出演強要問題の専門官を各都道府県警に新設すると政府が決めたらしい。

mainichi.jp

こちらは具体的に何をするのかよくわかっていないので、もう少し調べるつもり…。

 

とりあえず、強要問題に国をあげて向き合い始めていることがわかった。

こういった取り組みについて、そしてツアー参加者と話したこと、全体を通して私が思ったことなどなどについてはまた次回書くことにする。長すぎるし疲れたので。

 

最後に読んだ本いくつか紹介しときます。

amazonのアソシエイトを使ってみたかった理由にさせてくれ。

職業としてのAV女優 (幻冬舎新書)

職業としてのAV女優 (幻冬舎新書)

 

 

 

*1:

*AV女優には主に3つのジャンルがある。

・企画

人数が最も多い層。名前では売れないため、あらゆる企画作品に出演する女優さん。ギャラは安い。アルバイト感覚で仕事をしている女優さんが属することが多い。

 

・企画単体

企画でも単体でもない女優さん。単体で売れなくなったケースや、企画から人気が出たケース、またメーカーとの専属契約を避けてあえて企画単体を選ぶケースなど様々らしい。

 

・単体

アイドル的要素強めの名前だけで作品が売れる女優さん。勿論作品1本当たりのギャラも最も高額。(唯一日当ではなく、1本当たりのギャラを支払われる)

他2つと違い、特定のメーカーと専属契約を結んでいるため他のメーカーの作品には出演しない。

(主に中村淳彦(2012)『職業としてのAV女優』幻冬舎新書 より)