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満員電車内における後出しジャンケン「ちょっと!あそこ空いてんで!!!!早よ来いや!!!」に関する一考察

福岡だと中々そこまで満員の電車に乗る機会がないのだけど、というか私は生粋の西鉄バスヘビーユーザーなのでそもそも電車にほとんど乗らないのだけど、この前東京、大阪辺りに行ってきてその満員電車に乗る機会が多くあったわけです。


まぁ疲れていたら普通に座りたいじゃないですか。だから席が空いていたら自然とまぁそちらに足を運びますよね。フゥ〜〜ラッキーだ、満員電車なのに運良くオアシスを見つけちまったな〜〜なんて思いながら、でも真顔で、空席までの最短ルートで進むわけですよ。

 

そりゃあ空席が一つとか二つとか、数少ないとそこに向かうまでに誰かが座るかもしれないし、足腰の強さをとったら何が残るかといえばそれなりの愛嬌しか残らない私よりも小さい子とか足腰が弱めな方が乗った方が空席的にもいいかなとか思って遠慮しますけどね。

でも、たまに運良く席が一列くらい空くとき、あのときはオッシャ〜と思いながら早足で、なんならスキップくらいの気持ちで空席に向かうわけです。

 

だけど結構人って同じこと考えるんですよね、わたし以外の人もスキップしてるんですよ。わたしにはわかるんですよね、もう足取りが軽いんですよね。

さっきまで死んだ目でスマホいじってたおじさんがチラッと空席を見て小躍りしてるのがわかるんですよね。

余裕のある暮らし、してますけど?シンプルイズ、ベストですけど?みたいな顔した綺麗なお姉さんの余裕のなさが漏れ出てるんですよね。

もう空席の一列に送られる念がすごいのがムンムン伝わるし、もう空席側も準備万端だって目配せしてきてるのがわかる。隠しきれてない。


ドアが開く。

 

電車内の人が吐き出され、一列のオアシスが現るその瞬間に、同じ目的地に向けて確かに歩む仲間が、ライバルが、同胞が、微かに光る一筋の道を辿るー

 

 

「ちょっと!あそこ空いてんで!!!!早よ来いや!!!」

 

 

ーーーーーー確かに我々は光を追っていた。


僅かだけれども、確かにそこには存在していた。理不尽な社会の中懸命に生き、人波に揉まれながらも一歩一歩踏みしめてきた。
たった20分、短い時間だと君は笑うかもしれない。

だけど、僕らはそれで十分だったんだ。都会の焦燥の中にひっそりと存在する小さな安らぎを大切にしてきた。ただそれだけのことだった。それ以上のことは望まない。それだけでまた明日も頑張ろうと思える。明日も笑おうと思える。そのはずだった。

 

「ちょっと!あそこ空いてんで!!!!早よ来いや!!!」

 

オ、あの席座れるな〜♪なんて思ってたときにこれ後出しですよ。もう絶対座れない。
最短ルートを早足で進んでいたのに急ブレーキ。疲れているときほど、期待が大きいほど、刺客からのダメージを受けてしまう。

けれどもそんな時も頑張れわたし頑張れ今日も。頑張れみんな頑張れ明日も。西野カナが励ましてくれる。そうだよねカロリー消費だよね、そうだよねわたしの取り柄は足腰の強さだよね。

ライバルよ、仲間よ、同胞よ、また会おう。